「ザ・トゥルー・コスト ~ファストファッション 真の代償」を観ました。
ファッション(衣服)とは無知or思想を装うこと と定義してみる

2015年11月14日(土)より渋谷アップリンクで上映している
THE TRUE COST ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償」を観ました。

上映初日の前日に公開されることを知り、これは見なければ!と思い立ちました。
11月14日(土)10:30の上映後トークショーのある回を観ました。
トークショーピープル・ツリーの胤森なお子さんと映画配給会社ユナイテッドピープル代表の関根さんでした。

映画のタイトルどおり、服の本当のコストを見せてくれるドキュメンタリーです。
アンドリュー・モーガン監督がある朝見たショッキングなニュースがきっかけとなったそうです。

ダッカ近郊ビル崩落事故(ダッカきんこうビルほうらくじこ)は、2013年4月24日(現地時間)、バングラデシュの首都ダッカ北西約20kmにあるシャバール(サバール、en:Savar Upazila、人口約140万人)で、8階建ての商業ビル「ラナ・プラザ」が崩壊した事故である。死者1,127人、負傷者2,500人以上の大惨事になった。このビルには縫製工場、銀行、商店などが入居していたが、朝のラッシュアワーに事故が重なり被害が大きくなった。事故前日に当該ビルの亀裂が発見され、ビルの使用を中止するように警告がされていたが、それはビルのオーナーらに無視された。

Wikipedia ダッカ近郊ビル崩落事故

安すぎるという感覚が自分のなかに存在するか

この事故が起きたことは、うっすらと知ってはいました。ただ、今思えば知っているという次元が違いました。
自分と関係が在ることかもしれないとはとうてい思わず、遠い国で起きたつらい事故としかとらえていませんでした。
ただ縫製工場で起きたというのはこころに引っかかっていました。




私は服飾の専門学校で服をつくる過程を学びました。
まず素材があって、デザイン、パターン、縫製、商品管理、流通、販売・・・etc
それぞれの過程を経てやっと自分の手に届くわけですが、それが1,000円台で売られていたりする。
その工程を私がひとりでやったとしたのなら、一着誰かの手元に届けるのであれば1日では終わりません。
ということは、日給1,000円以下になるということです。
それだけ安くするということは、大量に生産しなければならないことと、どこかで誰かが搾取されているということになる。
日本より物価の低い国に任せたら可能なのか?
可能じゃなかったからこの事故が起きたのだろうと思いました。
見えないくらいの小さな歪が、私の手から素材を生む土地までの間にある。
歪は、さまざまなポイントでそれぞれのスピードで大きくなっている。
それが、多くの人に見える形で現れたのがこの縫製工場。
亀裂に気づいて一度外に逃げたのに、戻されたという。

その縫製工場で働いていた女性が語る場面は思い出すと涙がでるというか絞めつけられます。なんともいえない気持ちがよみがえります。
その縫製工場で働くということは、いたしかたないことなのか?
事故が起きていなければ、それでよかったのか?
映画の中では、私の持つ服と地続きである土地の汚染と人への影響も訴えられていました。
わたしには、こたえがみつけられないことでした。
わかるのは、私がそういったファストファッションの服を買ったとしてもその方々に届くお金はいくらもないであろう・・・ということです。

安すぎるという感覚が自分のなかに存在するか。
その事故を保証できるわけなどなく、事故や破壊するものがたとえなくても、服をつくるそれぞれの過程にいる方々に搾取なく賃金が届いているのか?といったら、そうではないだろう。
それらを加味したのなら、その1,000円の服は、10万円でも安い(足りない)のかもしれない。

10万円が安いか高いかの判断基準。
背景が見えなければ、自分のお財布状況しか比較対象にならないので、100円しか持っていなければ「高い!」となる。
自分が持っている金額と比較して高いだけだ。
クリエイターとして仕事している時や、クリエイターさんの作品を販売するときによくある反応だ。
自身でつくったものを直接販売したことがある人は、端的にそう言わない。
自分は100円しかもっていないけど、これはさまざまなことを判断した結果10万円が妥当だ。と思えるのはその過程を知っている人。
さらにその市場センスがあれば、これはとても希少でだれもが欲しがっているので10万円でも安いと判断するかもしれない。

大量生産されて薄利多売をされているモノの裏にも人や環境がある。
そう知って見えないものや未来に何が起きるかを想像できる人が増えなければ、ファストファッションブランドは動かないだろうな。

映画を観たら、それまでの浅はかな自分がとてもきまずい。
その、素材をつくる人・縫製をしている人・その裏で大変な思いをしている人たちに顔向けできない・・・という気持ちになる。



何を買う・買わないという「モノ」視点

映画上映後、おとなりの方と感想を話す機会をもらいました。
おとなりの女性は、「何を買ったいいのかわからなくなりました」と言いました。

背景がわからない、つくった人の顔が見えないものがまわりに多くありすぎるということ。
システムが大きくなりすぎていること。
ものと人がつながらないなかで消費している。
モノをつくっている社内でも知らない。
知らない人には、親身になれない。なりようがない。
トークショーのなかで、「不買運動をすればいいわけではない」と話されていました。

何を、買う・買わないという「モノ」視点ではなくて、誰から・どの企業から買いたいのか「人」を探しに行くのは楽しいことかもしれないです。

適正なコストと付加価値を見積もった、人を大切にする背景を持つものを、適正な価格で買う知識を持とうと思いました。
そういうことを知っていて話してくれる人から手に入れたい。
そういう流れを応援して、その流れのなかで、働く人が増えればいいな。

安いものをたくさんは、いくら外観やセンスが良くても「わたしは、無知なのだ!」と叫んでいるようなものだ。
今の時代はより強く、ファッションとは思想を装うこと と定義してみる。

ファッションというくくりより、衣食住のなかの「衣」で、老若男女だれもが着ているという身近なこととしてとらえて改めてもう一度観たいです。
地域によりますが、まだ上映してます。市民上映会もあり。

渋谷アップリンクで2冊購入しました。ピープル・ツリーのフェアトレード・チョコレートもありました。

エリザベス・L. クライン 春秋社 2014-05-17
売り上げランキング : 216647

by ヨメレバ
サフィア・ミニー(ピープル・ツリー/グローバル・ヴィレッジ代表) サンクチュアリ出版 2012-10-03
売り上げランキング : 251510

by ヨメレバ